営業のコツは「笑顔」にあり?

みなさんは、ビジネスの場で初対面の方とお会いするとき、どんな表情をしていますか?

私は、意識的に「笑顔」を心がけています。
その理由は、人間の脳の仕組みにあります。

ジェフ・ブルームフィールド氏の著書『脳科学セールス』によると、人の脳は「考える脳(理性)」、「感じる脳(感情)」、「本能の脳」の3層に分かれているそうです。

私たちはつい「考える脳」がすべてを判断していると思いがちですが、実際には「感じる脳」が直感的に相手をどう受け取るかを決めているのです。

たとえば、ある企業の役員と初めてお会いしたときのこと。
その方は名刺交換のときから終始、無表情で少し怖い雰囲気をまとっていました。
セッション中もまったく表情が変わらず、私はずっと緊張していたのを覚えています。

このとき私は、「感じる脳」が働き、相手が自分にとって“攻撃してくる人”なのか、“味方になってくれる人”なのかを無意識に判断していたのだと、あとで気づきました。

つまり、人はノンバーバル(非言語)な情報――表情、声のトーン、姿勢、さらには香りまで――五感で相手を感じ取り、瞬時に反応しているのです。

だからこそ、「笑顔」が営業の大きな武器になるのだと思います。

笑顔は、「私はあなたの味方ですよ」「あなたの話をしっかり聞きたいと思っています」というメッセージを、言葉以上に伝えてくれます。

そしてもう一つ大事なのは、「自分の本心を語ること」。
どうお客様を支援したいと思っているのか、自分の気持ちを素直に伝えることも、相手に「仲間」だと感じてもらうための大切な要素です。

ちなみに、先ほどの「怖い役員」の方には、思い切ってこう尋ねてみました。
「先ほどから少し不安そうなお顔をされているように見えたのですが、私たちに何かご不満があれば教えていただけますか?」

すると、その方はふっと表情を緩めて、「いえ、何もありませんよ」と優しい笑顔を見せてくれたのです。

その瞬間、私の緊張も解けて、そこからは本音で語り合える有意義な時間になりました。